上川陽子法相は25日、名古屋市で2007年に起きた闇サイト殺人事件で死刑が確定した神田司死刑囚(44=名古屋拘置所)の刑を同日午前に執行したと発表した。
執行は昨年8月以来で、上川法相の就任後初めて。第2次安倍政権以降では12人となった。
上川法相は記者会見し「身勝手な理由から尊い人命を奪った極めて残忍な事案。裁判所の十分な審理を経た上で死刑が確定しており、慎重な検討を加えた上で執行を命令した」と話した。
確定判決によると、神田死刑囚は他の2人と携帯電話サイト「闇の職業安定所」で知り合い、07年8月、名古屋市の路上で会社員磯谷利恵さん(当時 31)を車内に拉致し、監禁。現金を奪った上、ロープで首を絞めて殺害し、岐阜県の山林に遺体を遺棄した。神田死刑囚が主導的な役割を果たしたとされた。
名古屋地裁の死刑判決を不服として控訴したが、09年4月に自ら取り下げ、強盗殺人罪などで死刑が確定した。共犯者のうち1人は1審、2審ともに無期懲役、もう1人は1審で死刑判決を受けたが2審で無期懲役となり、いずれも確定している。
神田死刑囚の弁護人だった蔵冨恒彦弁護士は25日、同死刑囚が再審請求を検討していたと明らかにした。
今回の執行で、刑事施設に収容されている確定死刑囚は129人になった。
第1次安倍政権では、長勢甚遠元法相の命令で06年12月~07年8月に計10人、第2次安倍政権では谷垣禎一元法相の命令で13年2月~14年8月に計11人の刑が執行された。
アムネスティ・インターナショナル日本など死刑廃止を求める団体は25日午後、東京都内で記者会見し「世界は死刑廃止の流れになっている。その潮流に反して執行するのは人権侵害で、強く抗議する」と批判した。(共同)
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