2015.5.8 07:07更新
鳥取・那岐山、増えるシカに食われ希少高山植物ほぼ全滅 害獣駆除できず苦慮
鳥取、岡山両県にまたがる国定公園内の那岐山(1255メートル)で、鳥取県側の登山道沿いに群生する高山植物がニホンジカに食い荒らされ、分布の西限とされるイワウチワがほぼ全滅状態になっている。農作物被害のケースと違い、行政は害獣駆除などの対策を取りにくく苦慮している。
イワウチワは葉がうちわに似ていることからこの名前が付いた。4~5月に開花し、直径2~3センチで淡紅色の愛らしい花を咲かせる。鳥取県は準絶滅危惧種に指定し、国立・国定公園内では採取を禁止している。
那岐山では2合目から6合目付近にかけて分布し、登山者に人気がある。岡山県津山市の自然公園指導員安達優一さんによると、登山道の尾根筋に群生していたが、昨年は全体の約5割が被害に遭い、今年はほぼ全滅に近い状態という。
シャクナゲやドウダンツツジも被害に遭っている。沢筋ではシカの親子の鳴き声をよく耳にし、かなりの頭数が生存していると推測。安達さんは「春を告げる花として多くの登山者が楽しみにしていたのに」と話し、保護対策を訴えている。
鳥取県の統計によると、ニホンジカの捕獲頭数は平成22~24年度は年間3千頭強だったのが、25年度は約5千頭と増加傾向にある。
地元の鳥取県智頭町の担当者は「登山者への被害が出ているわけではなく、駆除に動けない」と話す。国定公園を管理する鳥取県緑豊かな自然課も「貴重な植物を守る必要はある」としながらも対策に頭を悩ませている。
http://www.sankei.com/region/news/150508/rgn1505080012-n1.html
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