新型コロナウイルス感染者のうち、慢性腎臓病や悪性腫瘍(がん)といった持病などがある場合の死亡率は、全くない人の約5.6倍に上ることが4日、厚生労働省の調査で分かった。約10万人を対象に、重症化リスクが高いとされる9要因を分析した。
 厚労省は、感染者データを管理する情報システム「ハーシス」に4~6月に登録された症例を集計。約32.2万人のうち慢性腎臓病や高血圧症など9要因の有無が記載されていた約10.3万人について、7月22日までに死亡した割合を調べた。
 9要因が一つもない人の死亡率は0.41%だったが、一つ以上ある人は全体で2.28%と約5.6倍になった。要因が多いほど死亡率は上がり、一つの人は1.38%、二つなら3.80%、三つは5.20%、四つ以上は9.69%だった。
 要因別では、慢性腎臓病が最も高い13.95%で、同病でない人の約20倍だった。他は慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)が10.19%、がん8.35%、糖尿病4.76%、肥満1.55%などとなった。
 厚労省は、39歳以下、40~49歳、50~64歳、65歳以上の4群の死亡率も分析した。重症化リスクの要因がある場合、65歳以上の死亡率は6.89%だったが、64歳以下はいずれも0.04~0.6%程度に収まった。
 一方、9要因がない場合は、65歳以上の死亡率は4.62%だったが、64歳以下は0.03~0.2%程度となり、高齢者の死亡率が高いことが改めて示された。厚労省の担当者は「重症化リスク要因と死亡率について、一定の傾向を示すのではないか」と話している。 (C)時事通信社