「イスラム国」掃討に向けて、米仏英ロがシリア空爆を強化する方針という。
ただ、イラク戦争が憎悪の連鎖を生み、過激派組織の台頭につながったことを忘れてはならない。
シリアに対する米ロの政策の隔たりは大きいが、大切なのは「イスラム国」が勢力を拡大させるシリアの内戦を終結させることだ。
立場を超えて、移行政権の樹立といった内戦の政治的解決に力を合わせてもらいたい。
併せて取り組まなければならないのは貧困の撲滅だ。
アバウド容疑者らは、ベルギー・ブリュッセル首都圏の移民街モレンベークで育った。人口の約8割をイスラム教徒が占め、若者の失業率が4割に上る貧困地区だ。
過去のテロでも、この地区の居住者の関与が指摘されている。
ベルギーからシリアに渡ったイスラム過激派戦闘員の割合は、欧州で突出している。
この地域に限らない。貧困や差別など、社会からの疎外感をどう取り除くか。国際社会の力量が問われている。
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