2020年5月3日日曜日

原油宝@中国銀行

中国の銀行「原油先物マイナス」でカモられた訳
5/2(土) 6:01配信
東洋経済オンライン


4月20日、原油先物価格が史上初めてマイナスに転じる暴落劇が起きた。その背後には、原油マーケットへ急速に流入した中国からの巨額の投機資金と、それを標的にした空売り勢とのマネーゲームが見え隠れする。中国の独立系メディア「財新」の取材班は、現地のマーケット関係者を徹底取材。投資家に巨額の損失を負わせた投資商品“原油宝”の正体を暴いている。
 “究極のブラックスワン”が飛来した。世界最大の先物商品である原油は、3月初めから、その歴史的な暗黒の瞬間が訪れるまで暴落し続けた。


 北京時間4月21日未明(アメリカ時間20日午後)、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物原油5月限(ぎり)の清算値が、一時1バレル=-40.32ドル(320%安)まで暴落した。原油価格とその下落幅のどちらに関しても歴史的な出来事だ。この日、最終的にWTI5月限の清算値は1バレル=-37.63ドルとなった。



 WTI5月限とは西テキサス地方の軽質原油の5月の先物取引という意味で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場している。WTIは良好な流動性、価格に関する高い透明性、最大の建玉数を誇る国際原油市場における3大基準価格の1つである。

■銀行に預けていた保証金が一夜でゼロに

 4月22日、中国銀行の“原油宝”(訳注:原油先物契約に連動する小口の投資商品)に投資していた多くの投資家は、WTI先物5月限の収益が大幅にマイナスになっていることに気がついた。銀行に預け入れていた保証金が一夜にしてゼロになったのだ。

 さらに投資家は中国銀行から多額の保証金を求められ、中国銀行は「この件に関する延滞は個人信用調査に影響を及ぼす」と表明した。この出来事はすぐに大きな騒動に発展した。同日夜8時、中国銀行は声明で、当該商品の合規性を強調したが、顧客に対し引き続き保証金を求めるかどうかというセンシティブな問題についての言及は避けた。

 財新の取材に応じたある投資家は、「(保有する)ポジションの平均価格は184.73元(1元は約15円)で、中国銀行が報告した終値は-266.12元だった」と述べる。彼は5万元分の“原油宝”を購入したが、現在の評価損益は-12.98万元になっている。つまり銀行に約8万元もの“借金”をしていることになる。

 “原油宝”とは中国銀行の“紙原油”(訳注:帳簿上で取引されている原油連動の投資商品)の名称だ。現行の銀行規則に従うと、商業銀行は先物取引に直接参加することはできない。“紙原油”の基本原理は、個人投資家が銀行と取引を行い、原油商品の売買を実現するというものだ。

 銀行はこの商品の仕組みを通じて、個人投資家が原油を売買するためのチャンネルを担っているようにも見えるが、実際の運用においては投資家の売り気配と買い気配を計算した後に、場外で売買を成立させる。

 銀行の役割はマーケットメイカーに類似しており、個人投資家は原油先物市場には直接的には参加していない。銀行は日々、リスクポジションをヘッジして、値上がり益や為替スプレッド、余剰の保証金、および利息などを獲得している。

 2013年、中国工商銀行はいち早く個人投資家向けに“紙原油”の商品を売り出し始めた。2015年には中国建設銀行と中国交通銀行も類似の商品を販売し始めた。2017年からは中国銀行、民生銀行、浦東発展銀行などの多くの大中型銀行も“紙原油”商品を販売しているが、商品の仕様はほとんど同じだ。

 また、多くの銀行関係者がこの種の商品はすでに中国銀行保険監督管理委員会に登録されていると話す。複数の銀行の商品カタログによると、この種の商品は銀行理財類中の”R3級”のバランス型に属しており、理財商品の5段階リスク分類中の中間に位置する。

■10万人の投資家の資金が原油先物に流入

 「バランス型なのに、なぜ投資家が元金をすべて失うリスクを負わなければならないのか。なぜ銀行に巨額の保証金を支払わなければならない状況になるのか? リスクマネジメントの概念とまったく矛盾している!」――多くの投資家や弁護士は、商業銀行が適合性の原則(訳注:投資家を保護するための販売・勧誘の自主規制ルール)を満たしていなかったのではないかと疑問視している。

 2020年3月以来、“紙原油”は高い評価を得てきた。ある大手銀行のトレーダーは、原油価格が1バレル=20ドルまで下落した際に多くの個人投資家が市場に駆け込み、「原油を底値で買いたい」という声が絶えなかったと話す。3月13日、ある投資家は、工商銀行が人民元決済口座での北米原油または国際原油に連動する2つの投資商品の取り扱いを一時的に停止しているのを発見した。



 工商銀行の関係者は「人民元ベースの原油商品を購入するには、人民元をドルに換える必要がある。当時は底値を狙って購入しようとする人があまりに多く、外貨管理局が当該商品に対して外為購入制限を設定するほどになった。しかし同時期に、中国銀行の大型支店では“原油宝”のプロモーションに力を入れ始めた」と話す。

 無知の者は恐れをも知らない。“紙原油”に飛びついた約10万人の投資家たちが投入した大量の資金は、短期間で国際的な原油先物価格を盛り上げる主要な資金源となり、それはすぐに人々に知られることとなった。

 ある先物取引会社のファンドマネージャーは「国内の底値買い勢力は主に工商銀行、建設銀行、中国銀行の“紙原油”に集中しており、これら3つの銀行のポジションの総額は30億ドルほどとみられており、これは14万枚(1枚=1000バレル)のポジションに相当する。このポジションはICE(ブレント原油先物)とWTIの期近物(訳注:先物取引で受渡期日が最も近いもの)の2大商品に集中している」と考えている。

 この種の“紙原油”の投資家は現物を引き取る能力を持っておらず、WTI期近物が主な商品となると、期日を迎えれば決済または転売を行うほかない。例えばWTI5月限の場合、5月物を売って6月物を購入する。規模が最も大きい工商銀行は早くに転売を行い、建設銀行も前倒ししてポジションをクローズ(決済)している。中国銀行のみ、この清算日を4月21日(訳注:WTI先物5月限の取引最終日)に設定していた。

 意外にも、“紙原油”が固定の転売期日を設定していること、そしてそれが清算日と同日であることは、早くから空売り筋に目をつけられた。「素人の買い勢力が、プロの空売り筋に狙い撃ちされた」と、前出のファンドマネージャーは語る。さらに中国銀行がWTI先物5月限の転売を行おうという際に、あまりにも極端な状況に直面することとなった。それが原油のマイナス価格だ。

■中国銀行は取引に直接関与していなかった

 歴史的な事件はわずか30分間の内に起こった。



 北京時間4月21日午前2時、WTI先物5月限の価格は1バレル=0.01ドルにまで下落。2時8分、取引価格がマイナスに突入。2時22分には取引価格は引き続き1バレル=-10ドル、2時28分に1バレル=-30ドルに下落。そして2時29分に1バレル=-40ドルまで暴落し、2時30分の取引価格は1バレル=-37.63ドルとなった。

 注意しなければならないのは、この価格が形成される過程に、中国銀行は関与していないということだ。「中国銀行が適時ポジションをクローズしなかったから価格が-37ドルまで暴落したというわけではない。中国銀行とJPモルガンはその日の清算値で清算したまでだ。中国銀行はセッション中の取引に参加していない」、あるベテランの市場関係者はこう語る。

 “紙原油”の商品仕様に照らして考えると、全体的な運用プロセスは以下のとおりだ。まず銀行が顧客に対し相対取引のオファーを出し、顧客が銀行に保証金の100%を提供し売り気配と買い気配を相殺した後、銀行が先物取引業者と期先物の取引を行い、手元資金をヘッジする。

 銀行が先物取引に直接参加することはできないため、銀行は直接的に先物取引所で取引を行うのではなく、先物取引業者を通じて場外で取引を行うのだ。そしてWTI先物5月限の決済期限前の最後の取引日は北京時間の4月21日。つまり、中国銀行の“原油宝”は、取引価格がマイナスとなる歴史的なブラックスワンに直面してしまったというわけだ。

 では、中国銀行が“原油宝”によって被った損失はどのくらいになるのか?  現在のところ中国銀行は“原油宝”の顧客とポジションの全体的な数についての公表は行っていない。また、中国銀行と取引業者間の取引の規模についても公にしていない。

 ある業界関係者は「ブルームバーグのデータによると、WTI先物5月限の期初の規模は約8万から9万枚、期末はこれにプラスして1万枚以上多かった。また、決済日には多くの投資家が1バレル=-37.63ドルで約7.7万枚(7000万バレル以上)を決済している。約20ドルの初値に対して、損失は約40億ドルに上る」と分析する。この内のどれくらいが、中国銀行が外国市場で失った損失になるのだろうか? 



 現在のところ、中国銀行は当該商品における損失額については公にしていない。財新の取材班が権威ある情報筋から得た情報によると、中国銀行の“原油宝”には6万人余りの顧客がいる。

■最終的な損失は90億元以上か

 その内、投資金額が1万元以下の投資家が約2万人、1万~5万元の投資家が約2万人、5万元以上の投資家も約2万人という内訳になっている。そして、6万人余りの顧客の保証金である42億元がすべて失われ、さらに中国銀行へ支払う必要がある保証金約58億元が“借金”状態にあるという。

 多数の地域の管理当局の関係者は「中国銀行の各支店が4月22日に“原油宝”の顧客数とポジション状況の統計を出した。たとえばある支店のロング(買い持ち)ポジションの顧客の損失は約2.1億元で、中国銀行への“借金”が3.7億元。また別の支店の顧客の損失額は2.5億元で、“借金”が3億元となっている。支店のレポートの関連データからみると、95%が買い注文で、5%が売り注文となっている」と話す。

 財新が得た情報では、今回の中国銀行の買い注文は2.4万から2.5万枚である。これは中国銀行が約90%のポジションを外国市場でヘッジしなければならないことを意味しており、最終的な損失は90億元を下らないだろう。

 中国銀行は顧客に58億元の保証金を求める必要があるが、現在の投資家たちの反応や外部からの注目度、および運用に関して明るみになった落ち度などを考慮すると、難しいと言えそうだ。

 (財新記者:呉紅毓然、劉彩萍、彭駸駸)
※「財新周刊」4月27日発売号のカバーストーリーより抄訳
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200502-00347981-toyo-bus_all&p=5

、、、(爆wwwwwwww

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

コロナウイルスはやって世界中で移動制限がかかっている最中、原油先物に投資するって、、、

中国は下火になってることになってるけど、アンタのせいで、世界中の飛行機が止まってるのしらんのかwwwwwwwww

そうか、CCTVはそういうニュースは流さないのか(爆)
そりゃこれからも鴨られるわな。自国のメディアの情報制限のせいで(爆)

匿名 さんのコメント...

次は金かな?

China’s gold market rebounds
MINING.com Editor | April 16, 2020 | 10:44 am

With the nation emerging from the covid-19 outbreak, China’s physical gold demand rebounded gradually in March

https://www.mining.com/chinas-gold-market-rebounds-in-march-as-economy-embarks-on-recovery/