2014年7月29日火曜日

スタッツインベストメントマネジメン ト

[東京 29日 ロイター] - 企業の増資情報を事前に入手しインサイダー取引を行ったとし、証券取引等監視委員会から課徴金の納付命令を受けていた投資顧問、スタッツインベストメントマネジメント(東京都千代田区)の金融審判が28日、行なわれた。

情報を漏えいしたとされる元野村証券社員はこの日、スタッツの運用担当者に増資の情報を伝えたかについて「本当に伝えたか覚えていなかった」と語った。

監視委は、スタッツの運用担当者が2010年7月2日までに、国際石油開発帝石(INPEX)(1605.T:株価, ニュース, レポート)の増資情報を入手し、インサイダー取引をしたと認定していた。今後の焦点は、金融庁が課徴金の支払い命令を決定するかどうか。決定すれば、スタッツは課徴金納付命令の取り消しを求める訴えを起こす方針。増資インサイダー問題に関連し、金融当局に訴えを起こした金融機関は過去に例がない。

この日の金融審判には、監視委、スタッツの関係者のほか、増資情報を社外に漏えいしたとされた当時の野村証券の機関投資家営業部社員が出席した。元社員は現在、野村ホールディングス(8604.T: 株価, ニュース, レポート)のグループ会社に勤務している。

監視委は、a)7月2日までにインサイダー情報がスタッツの運用担当者に伝達され、b)同6日に、伝達された情報をもとに、運用担当者はINPEXの株式を売り付けた、c)同7日にチャットで運用担当者が記した「まだかなあ」の一言は、それ以前に増資情報が伝達されていたことを示す、d)翌8日午前にチャットで「もうなくなったんですかね」と記されていたため、これも、それ以前に増資情報が伝達されていたことを示す──などと主張した。

しかし、これについてスタッツの代理人、郷原信郎弁護士は、監視委が認定の根拠として使った「まだかなあ」のチャット記述は、なにが「まだ」なのか不透明で、どのような意味にもとれると主張。「まだ」が意味し得ることに、営業担当者からの電話連絡がまだかなど、他の可能性もあるものの、元営業担当者がそうした他の可能性を一方的に排除して監視委の調査に応じる結果となったなどと主張した。

この日の金融審判で手続きは終了。スタッツ側は監視委の担当調査官の尋問を請求していたが、採用されなかった。

スタッツの関村正悟・代表取締役(CEO)は審判終了後、ロイターに対し、「ファンドマネージャーは会社の宝なので徹底的に戦う」と述べ、金融庁が最終的に課徴金の支払いを命じる決定をした場合は納付命令の取り消しを求める訴えを起こす考え。

増資インサイダー問題は、2012年に相次いで表面化した証券会社からの増資情報の漏えい問題野村のほか、大和証券、JPモルガン証券の元社員や、SMBC日興証券の元執行役員がINPEX、日本板硝子(5202.T: 株価, ニュース, レポート)、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)などの増資情報を開示前に漏えいしていた。

監視委は、検査の結果、スタッツの運用担当者がINPEXの公募増資の情報を事前に入手し、取引をしたと認定し、2013年12月、スタッツに対する54万円の課徴金納付の勧告を行っていた。

(江本恵美、編集:宮崎大)

JST Reuters 2014年 07月 29日 06:31
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0FX1YO20140728










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