2016年7月5日火曜日

次はイタリアン・クライシス

金融
欧州銀行危機、次の舞台はイタリア
By GIOVANNI LEGORANO
2016 年 7 月 5 日 15:30 JST

【ミラノ】英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まった結果、同国経済の見通しは悲観的なものとなった。他の欧州諸国への打撃はより直接的かつ深刻なものになりかねない。そのリスクが極端に集中するのは紛れもなくイタリアの銀行部門だ。

イタリアでは銀行融資の17%が不良債権化している。この比率は米国の約10倍だが、米国では2008年〜09年の金融危機の最悪期でも5%にとどまった。ユーロ圏では上場銀行が抱える不良債権総額の半分近くをイタリアの銀行が占める。

イタリアの銀行は長年にわたり融資基準が緩かったため、景気低迷で企業破綻が急増した数年前は十分な備えがない状態だった。大手銀の一つ、バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)は大量の不良債権を抱えていたため、700人規模のチームに処理を担当させ、受け皿となる部門を新たに創設した。同行は数週間前、この不良債権部門を売りに出した。海外のパートナーが清算処理を加速させると期待してのことだ。

英国のEU離脱(ブレグジット)が決定したことで、欧州の銀行全般、特にイタリアの銀行にかかる圧力は増大している。銀行関係者の一部は、モンテ・パスキの部門売却が危ぶまれる上、銀行が超低金利やマイナス金利、景気低迷に苦しむ中で不確実性が新たに生じると指摘する。

銀行幹部の多くはブレグジット決定を受け、英国だけでなくユーロ圏でも中央銀行が成長の減速にあらがおうと、政策金利を本来より長期的に低水準に維持するのではないかと懸念している。欧州の銀行株は投票後に下落し、イタリアでは特に下げがきつかった。モンテ・パスキ株は6月23日の投票以来、30%余り値を削っている。

アナリストらによると、これらは全てイタリアの銀行に対する信頼の危機を招く恐れがある。国際銀行規制の下で世界的に重要と分類されるイタリアの銀行はウニクレディト1行だけだが、ブレグジットで銀行へのストレスが増せば、イタリアの安定、場合によってはEUの安定さえ脅かされると指摘する向きもある。

イタリア財務省の元高官、ロレンツォ・コドーニョ氏は「ブレグジットはイタリアの本格的な銀行危機につながる恐れがある」とした上で、「ブレグジット懸念に早急な対応がなされなければ、ユーロ圏がメルトダウンに至る危険性は高まる」と述べた。

欧州の銀行は英国民投票以前からすでに経営を切り詰めていたため、市場は大部分の銀行に十分な資本バッファーがないと懸念しているようだ。投票前でさえ株価は行き詰まりを示唆する水準だった。6月23日以降、欧州の銀行株指数は17%下落しており、年初来の下落率は30%に達している。

欧州周縁国では痛みが大きい。ポルトガルの銀行システムは引き続き不良債権や利益性の低さ、投資家需要の不足に苦しんでいる。同国は2011年に国際金融支援を受けたが、当局は多額の政府債務を考慮し、「バッドバンク」の創設を通じて銀行のバランスシートを一掃する計画を見合わせた。この案は現在議論されている。

スペインの銀行バンコ・ポピュラール・エスパニョールは6月、不良化した不動産ローンを処理するため、25億ユーロを調達した。スペインでは経営力の弱い銀行が、08年の不動産バブル崩壊とその後の景気低迷からの回復に苦戦している。

イタリアの銀行の収益性はかねて欧州でも有数の低さだった。従業員や支店数の過剰が経営を圧迫し、各行には不良債権をカバーする資本の上積みがほぼない。足元の低金利はとりわけイタリアの銀行の痛手となっている。というのも、各行はごく一般的な融資業務に偏重し、資産管理や投資銀行業務といった手数料ビジネスの割合が比較的小さいためだ。

イタリアの銀行幹部によると、金融危機に見舞われた08年末、同国の銀行は返済が遅延しているローンを借り換える傾向があった。景気が上向けば問題は片付くと期待してのことだという。

イタリアの銀行問題を受け、EUが2年前に採用した銀行危機対応モデルが初めて本格的に試されている。イタリア政府は国内銀行に400億ユーロの資本を注入してシステムを安定させるべく、EUに承認を求めている。

そうするためには、EUが2014年に採用した規則を曲げなければならない。この規則は、破綻銀行の公的資金による救済に先立ち、利害関係者(株主、債券保有者、一部の預金者)に損失負担を強いるものだ。

イタリア政府はこの規則を曲げることについて、ブレグジットの悪影響から銀行を守るファイアウオールを構築するために支払うわずかな代償だと主張している。ドイツをはじめとするEUのパートナー国はこの案を受け入れておらず、イタリアは銀行危機のリスクにさらされている。

欧州中央銀行(ECB)が2014年、ユーロ圏の最大手銀行の監督を開始した際、事態は一段と厳しくなった。銀行関係者によれば、ECBは不良債権の申告に際し、イタリア銀行(中央銀行)よりも厳しい基準を適用した。

この結果、イタリアの銀行が抱える不良債権は3600億ユーロを超え、08年の4倍に達した。今なお増え続けている。

イタリア政府は昨秋以降、一連の解決策を打ち出しているが、今のところ成果はほぼない。政府の提案には、不良債権市場の創設を促すインセンティブや、破産手続きの短縮化、400を超える協同組合銀行の合併を進める新規則などが含まれる。

これらの問題はブレグジットで大幅に悪化している。経済成長の減速で不良債権はさらに積み上がり、銀行の収益は一段と圧迫され、ただでさえ薄い資本バッファーは損なわれる恐れがある。経済成長は国民投票以前からすでに減速していた。イタリア産業総連盟は1日、ブレグジット決定を受け、今年の経済成長率予想を1.4%から0.8%へ、来年を1.3%から0.6%へ引き下げた。

もう一つ懸念されるのは、銀行の株価にさらなる圧力がかかれば預金の一部が流出しかねないことだ。モンテ・パスキは今年初め、株価が数日間で25%余り急落した後、預金流出に見舞われた。

不良債権化が進むほど、銀行は損失への緩衝材を厚くしなければならない。プレリオス・クレジット・サービシングのリカルド・セリーニ最高経営責任者(CEO)は「銀行はブレグジットを受け、市場の乱高下に対処するとともに株価へのさらなる打撃を回避するため、必然的に資本状況を強化せざるを得ないだろう」と述べた。

http://jp.wsj.com/articles/SB11687939370047813834804582170163086036018












日本が必死に貢いでたEUはダメダメですな。(爆wwwwwwwwwww

5 件のコメント:

ご近所 さんのコメント...

イタリアwwwスペインwwwwwポルトガルwwwww
まるでドミノ倒しですな

匿名 さんのコメント...

日本人は働き過ぎだがEU人は働かなさすぎ(笑)
そら金主がトンズラしたら転落もしますわ(苦笑)

匿名 さんのコメント...

イタ公www

GABRIEL さんのコメント...

かなり以前から
3国の失業率って
高め安定だったやうな

ギリシャみたいに
社会不安や経済危機
モロモロ顕在化しない
おかしいですから(苦笑

匿名 さんのコメント...

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